不倫慰謝料請求が無効になる場合

文責:所長 弁護士 岡田大

最終更新日:2025年02月25日

1 不倫慰謝料の示談(和解)の効力がなくなるケース

 不倫(不貞行為)があり、不倫をされた側と不倫をした側との間で話し合いがまとまって示談をしたとしても、状況によっては法的に効力が発生しないことや、取り消しができるということもあります。

 そのため、示談は十分な法律知識のもと、適切な過程を踏まえて行う必要があります。

 不倫慰謝料の示談の効力がなくなるケースとしては、次のものが挙げられます。

 ③については、示談の効力は一旦発生しますが、取り消しができます。

 

 ①当事者の意思に基づかずに示談が行われた

 ②示談の内容が公序良俗に反している

 ③詐欺・強迫・錯誤による意思表示があった

 以下、それぞれについて詳しく説明します。

2 当事者の意思に基づかずに示談が行われた

 示談は、法的に表現をすれば和解です。

 和解は契約の一種ですので、当事者による合意の意思表示により成立します。

 あまり多くはないと考えられますが、当事者以外の方(例えば親族の方)が示談の間に入り、本人に内容の確認等をしないまま、勝手に話をまとめて示談書に署名や押印をしたというような場合には、法律上示談は不成立となります。

3 示談の内容が公序良俗に反している

 民法90条により、「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効」になります。

 実務上は、示談書の中に公序良俗に反する条項が含まれている場合、当該条項のみが無効になるということが多いです。

 どのような条項が公序良俗違反になるかについて、明確な基準はありませんが、憲法上の人権が侵害されるもの、倫理または財産秩序に反するものが無効となる可能性があります。

 例えば、事案にもよりますが、勤務先を退職することを約束させるものや、遠方への転居を約束させるものなどについては、無効になる可能性があります。

4 詐欺・強迫・錯誤による意思表示があった

 民法上、騙されて示談書に署名と押印をしてしまった場合や、強迫などを受けて示談に応じた場合には、示談を取り消すことができるとされています。

 また、示談の前提となる事柄について、勘違いをしていた状態(錯誤)で示談に応じた場合にも、取り消しが可能となります。

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